Yatsude
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ヤツデ

2月中頃、我が家の給湯システムがダウンした。
この寒い時期にお湯が使えないのは、夏にクーラーが使えないどころの騒ぎじゃない。その100倍はきついのだ。
翌日は日曜日、メーカーに電話してもお休みだ。それなら俺がシステムを直してやろうと、家の裏手にある給湯システムを点検に行った。もちろん素人では手の付けようが無いことは分かっているのだが、何せ夏の100倍はきついんだから、この手で何とかしたい。
給湯燃料を供給する大きな灯油タンクの下は60cm程持ち上げてあって、燃料をスムーズに供給する。何とその灯油タンクの下にヤツデが育っていた。しかも青々とした葉を目一杯広げて、自分の運命を撥ね返しているのだ。家の北側で灯油タンクの下、植物の育つ環境としては決して恵まれた場所じゃ無い。自分が生を受けた場所を恨んでもどうする事もできないのは分かっている。だから、こいつ最悪の環境を自らの生命力に代えて、冬だというのに大きく美しく立派な葉を、できる限り目一杯に広げていた。
悪い事に、灯油タンクの下はこの逆境ヤツデに占領されて、燃料の浄化装置がチェックできない事が分かった。
この逆境ヤツデの所為なのか・・・? 仕方なく、ヤツデの葉と幹の一部を切除し、燃料浄化装置を分解して清掃した。
にもかかわらず、給湯システムは直らなかった。翌月曜日にメーカーさんに来てもらって耐震警報装置を交換して完治したのだが、切り落としたヤツデの枝葉が可哀相で、手持ちの一輪挿しに挿してやった。
2週間経った今でも、青々と逆境にめげない生命力を、我が家の居間に提供している。

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